コラム

安いたまごは何故安いのか?

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先日、韓国やヨーロッパでは鶏卵に「フィプロニル」という殺虫農薬が残留していて、出荷停止、回収、廃棄と大騒ぎになったそうです。 この殺虫剤は犬、猫のダニやノミ用の殺虫剤で、全ての国で鶏に対する使用は禁止されているそうですが、今回は、オランダ、ベルギー、ドイツ、フランス、韓国などで使用が確認され、多くの鶏卵農場が閉鎖になったそうです。

日本の鶏卵自給率は96%で、今回の汚染された卵は輸入されていないとされていますが、今回の騒動は恐らく氷山の一角でしかなく、私たち消費者は知らず知らずに危険な卵を食べているのかもしれません。 そこで、今回は安いたまごがなぜ安いのかを書いてみようと思います。

現在の日本の鶏卵は、90%以上がB5サイズ(ノートと同じ大きさ)のケージで身動き一つ取れず、呼吸すらままならない環境で飼育された鶏から生まれた卵です。 ケージはダンボールの様に重ね積みされ、縦横全てが鶏で埋め尽くされています。 この様な拷問のような環境で飼育されている鶏のストレスは尋常ではないため、他の鶏をくちばしで突くようになりますが、それをさせないために、麻酔無しでくちばしを全て切り落としているそうです。 また、早く成長させるために成長ホルモンをバンバン投与しています。 すると、運動できないケージ内で急速に肥大化するため、自重を支えきれずに骨折したり、心臓への過剰負荷により心破裂を起こしてしまう鶏も多くいるそうです。 鶏の寿命は平均8~10年と言われていますが、上記のような環境で飼育されている鶏は1~2年で死んでしまうそうです。

また、ケージ飼育されている鶏は、不衛生になりやすくストレス過多になる為、病気にかかるリスクが非常に高くなります。そこで、病気予防のためにワクチンや抗生物質を投与されます。
抗生物質は採卵期の使用は禁止されていますが、私たち消費者はその実態を知る術はありません。

次に飼料ですが、採卵鶏のエサは海外から来た遺伝子組み換え作物(コーンなど)がほとんどで、もれなくポストハーベスト(収穫後農薬)で防カビ剤、殺虫剤にすっかり汚染されています。 さらに大量の卵を産ませるために、人工的なビタミン、カルシウム等の添加物が配合されています。 遺伝子組み換え、ポストハーベスト、添加物・・・、いわゆるガンをはじめとする現代病の原因といわれるトリオが勢ぞろいですね。

こんな地獄のような環境で飼育された鶏から生まれた卵は、サルモネラ菌が付着している率が高くなるため、合成洗剤などで洗われ、次亜塩素酸ナトリウム(塩素)で消毒されます。 しかし洗剤で洗うと殻の保護膜である天然抗菌性物質が洗い流されるため、結果として菌耐性が著しく低い卵になります。また、洗卵や消毒時に使用された合成洗浄剤や塩素も卵の中にしみこむ心配もあります。

本来卵は、生活習慣病の予防や抗酸化作用をはじめ免疫力の上昇、美肌効果や脳を活性化しアルツハイマー病予防など、様々な効果効能が有るパーフェクトフードです。 でも、安い卵は既に卵の効能は期待できず、逆に汚染された本来の卵とは真逆のモノになってしまっていると言っても過言ではありません。これは私たち消費者が安さのみを追い求めてきた結果でもあります。

たんぽぽで販売している”たまご”を産んでいる鶏さんは、太陽の光を全身に受けながら自由に走り回り、砂浴びをしたり、止まり木で寝たりして、ホルモン剤、抗生物質などの薬剤は一切投与されず、主に野菜や米、大豆などを食べて育った鶏さんです。 そして、鶏舎内では雄鶏も一緒に生活しているので、有精卵(生きてるたまご)になります。
でも、この様な好環境で鶏さんを飼育するのは非常にコストがかかります。一般の採卵鶏と違い、産卵率が落ちてもほとんど寿命になるまで飼育するので、鶏の数に対する産卵率も非常に低く、現状では採算が取れていませんが、これからも安全で美味しいたまごを生産しててくれる生産者が増えるといいなと思います。

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